実は今、入院していて、大きなピンチを迎えている。
毎晩、あまり眠れない。
痛みはないけど、お腹の張りが苦しくて、唸っている。個室で毎晩母が付き添ってお腹を擦ってくれている。
昨夜。
いつも、唸ってしまう時間。
私は、龍に乗った!
赤錆のような色の肌をした大きな龍に。
低いところから、ビュンと私を頭部に乗せ、虎を四ひきも飼っている家の前をスルスルーって通り抜け、
みるみる高く舞い上がった。
広い場所に出ると、下にたくさんの人間が色々な営みをしているのが見えた。
不思議なことに、私は、これまでと違う視点を持っている。
邪悪な者と善良な者とをはっきりと一瞬にして見分けられるのだ。
そして、善良な者が、「今すべきこと」のために、
お互いに何をしようとしているのか気づかずとも、同じ方向に向かって行くのがはっきりとわかった。
みんな、とても美しい。
邪悪な者や、今すべきことがわからぬ者の動きは、バラバラ。
善良な者が、残していくシンボルのようなものが、自然に通りに並んでいく。
それがその人達の仕事というわけではないのだけれど、「我々がいるぞ!」と空高い龍に知らせるための目印なのか?
チョコレートで出来たような看板。
次々に増えて行くのが、嬉しくて、嬉しくて。
目が覚めると、母がお腹を擦ってくれていた。
「お母さん、今、あかね龍に乗った。」って言うと、声を出して泣いてしまった。
お母さんは、「龍に乗ったなんて立派だよ。」と応えた。
なぜ、こんなに嬉しいのだろう。苦しい夜に。